※初めに 学習効果を最大限に高めたい方は、毎回の教材を読む前に、【課題文】を音読し、録音をしてください。 そして、各回の教材に取り組んだ後に、もう一度【課題文】の音読を行ってください。 これによって、本コンテンツに取り組む前と取り組んだ後で、みなさまの発音の成長が実感されます。 【課題文】 I think that what you are saying is true. こんばんは〜。 皆さんの送ってくださる発音のビフォーアフター音声が素晴らしすぎて、それをエネルギーに今回も頑張って良いコンテンツを配信できるように頑張ります! 今回も頑張っていきましょう! 文章を読む中に練習ポイントが入れてありますので、読んで理解を深めつつ、身体で発音を覚えていきましょう。 発音は早い段階で学んで、慣れることがもっとも大切です。 若い世代の人だろうが、そうでなかろうが、早い段階での曝露が重要かなと考えています。 究極的な話、今このコースで発音を学んで、 もしのもしのもし、スピーキングの練習をやめちゃったとしても、5年後には発音上手くなってますよ。 小脳っていうところに、小脳ループってのがあって、覚えた動き(発音の場合は口の動きや形)を滑らかにできるように、身体に染み込ませていくんですね。 だから、今この段階で発音を学んでいただいている皆さんの未来は明るい! ということです。 いますぐに上手くなるかもしれないし、今すぐに上手くならないとしても数年後には確実に上手くなってるってことですから。 では本編にうつりましょう! 前回までで、みなさんには「通じるための発音」をマスターしてもらっています。 通じるための発音のポイントをおさらいします。 ・大きく相手に聞こえる声で、 = Enunciation ・取り繕いなしに発音しつつ = rの音 ・英語にしか存在しない音を学び =”th”、[f,v]、[r]、[ae] ・間違いがちな「シ」の音をマスター =[si]、[∫i] でしたね。 ここからは、レベルが少しずつ上がっていきます。 一般の英語発音レベル(なんちゃってレベル)から逸脱していきます。 レベルを上げるためには、それなりの準備が重要です。 何事も準備が肝心。 少し今回は内容が複雑に思える時があるかもしれませんが、頑張っていきましょう! 今回のテーマは 舌の前後の移動がある音 と リダクション です。 この内容をマスターすると、まず、リスニング力が飛躍的に伸びます。 さらに、早口で英語を話せるようになります。 早口で英語を話せることってそんなに大事なんかいな? っていう疑問が聞こえてきそうですが、 とっても大切です。 英語を早口で話すことができる人は、英語が話せる人です。 やたら英語が早口なのに、「アイツ、英語全然話せへんやん。」とはならないですよね? つまり、早口で話せることは、英語を話せるようになる十分条件ということです! 英語を流暢に話せるようになる上で、「速いスピードで英語が発音できること」は意外にも、重要なのです。 では、まず「舌が前後に移動する音」から学んでいきましょう。 舌が前後に移動する音には ・r ・thの音 ・l ・t & d があります。 発音は身体で学ぶもの、といつも言っていますが、今回ばかりは理屈をしっかり覚えてください。 発音の確認からはじめます。 ・rの発音方法 舌を後ろに巻いて「うー」と発音する =舌は「後ろ」に移動する これがrの音です。 ・thの発音方法 上の歯と下の歯で舌を挟み、息だけで「スー」、息と声を使って「ズー」と発音する =舌は「前」に突き出る事になる ・lの発音方法 舌を上の歯茎につけた状態で「うー」と言いながら、舌を歯茎から離す。すると「ルッ」という音が出ます。これがlの音です。 =舌は歯茎につけるので、「前」に移動することになる ・t&dの発音方法 舌を上の歯茎につけた状態から、息だけを用いて「トゥッ」と発音する。これがt。 dは息と声を混ぜて「ドゥッ」と発音します。 =舌は歯茎につけるため、前に移動させた後、音をだすタイミングで歯茎から離れる(=「後ろ」に移動する)ことになる rとthはすでに説明していますから、今回の講座では、主に[l]と[t,d]をマスターしてもらいます。 発音方法を考えると、lとtとdは3つとも 「舌を歯茎につけてからでないと発音できない音」 だということになります。 これらは、発音のプロセスが二段階なんです。 実際にやってみればわかりますので、やってみましょう。 一段階目として、舌を歯茎につけてください。 二段階目として、舌を歯茎につけた状態で、 Lを発音する→「ルー」 Tを発音する→「トゥッ」 Dを発音する→「ドゥッ」とそれぞれ発音します。 舌を歯茎につける=第一段階 そのあとにl、t、dを発音するわけです。 つまり「準備段階」と「発音する瞬間」があるので、発音のプロセスが二段階ということになります。 ここの準備段階で、舌を歯茎につけるわけですが、 このとき、舌が「前」に変位する、ということになります。 ここにthを加えて、 l t d th の4つの音は、 「舌を前に突き出して発音する音である」ということを理解してください。 一方、rは発音するときは舌を後ろに巻きますから、舌を「後ろ」に変位させて発音する音 ということになります。 ここまでよろしいでしょうか。 英語には ・舌を前に突き出す音 ・後ろに巻かないと発音できない音 があるということです。 どうしてこれらの発音を学ぶ必要があるのか、その理由について次に説明します。 その理由には、「リダクション」という現象が関わってきます。 リダクションとは、前後関係によって、本来ある音が発音されなくなることです。 リダクト=”reduct”とは、「省略する、削る、割愛する」という意味です。 今回のテーマである l、t,d、thなどの舌を前に動かして発音する音 と 舌を後ろに移動させて発音するrの音 この2つの音が隣り合っているときに、一方が省略されるという現象が起きます。 つまり、リダクションにおいては音が削られるということです。 ネイティブの英語があんなにも速いのは、彼らが、音を削りに削って話しているからです。 ネイティブの英語はリダクションのオンパレードだから、全然リスニングができないわけです。 例えば、 I think that what you are saying is good. 日本語発音だと アイシンクーザットワットユーアーセイイングイズグッド となります。 僕のイメージですが、ネイティブが早口で読むと、 アシンザッ(t)、ワッユアセイニズグッ(d) となります。 両者の違いはリダクションです。 これがスピードの差を生みますし、流暢さにも関わってくるわけです。 アイシンクーザットワットユーアーセイイングイズグッド (I think that what you are saying is good.) 的な日本人的な発音では、リダクションが皆無であるため(全ての音を発音しているので)、スピードが遅い上にダサいんです。 リダクションをマスターすると、英語を速いスピードで発音できるようになります。 そして、同時に、省略された音が聞き取れるようになるので、リスニング力が飛躍的に向上します。 リスニング力を高めるために発音を学ぶ必要がある とよく言われているのは、まさにリダクションのことです。 リダクションが飛躍的に英語を伸ばす上で必須のスキルになる理由です。 話を戻します。 リダクションとは何なのかは理解してもらったと思います。 次のテーマは、どういう時にリダクションが起こるのか、です。 例を見ていきましょう。 以下の英文を使って解説していきます。 例 And the moment I realized how to practice pronunciation I didn't feel it impossible to speak English anymore. (発音の学習方法を知ったとき、もはや私は英語を話すことが不可能だと感じなくなっていた。) 今回注目して欲しいところは And と theの間です。 つまり Andの”d”とtheの”th”が隣接している点です。 発音を確認しましょう。 ・dの発音 舌を歯茎につけて(第一段階) 息と声を使って「ドゥッ」と発音する(第二段階) ・thの発音 舌を歯で挟み、息を出す。 theは「ザ」なので、有声音ですから、息と声を使います。 And the アンド ザ から d the だけ抜き出しましょう。 すると d the ドゥザ となります。 では、d the(ドゥザ)を練習していきましょう。 いきますよ。 せーのっ d the(ドゥザ) できましたか? 難しいと思います。 実は、 ドゥザ を速く滑らかに読むことは無理です。 なぜなら、dで「ドゥ」と発音すると 舌が歯茎から離れる=後ろに変位する からです。 次にくるtheはthの音ですから 舌を前に突き出さないといけません。 そのため、この二つを滑らかに発音することは(ほぼ)無理なんです。 こういう時にリダクションが起こります。 誤解を恐れずに書くと、 全部の音を真面目に発音するとしんどいから、少しくらい省いてもええんちゃう? 的な発想です。 具体的に何が起こるかというと、 dを発音するときに、第一段階の「舌を歯茎につける」段階までで止めます。 舌を歯茎につける動きは、舌を前に変位させてますね。 その流れでthにつなげると滑らかになります。 結果的に And the は、 アンッザ っという発音になります。 発音されるはずのdのドゥが発音されない。 =省略 =リダクション ここまではいいですね。 さらにもう一つ大切なことがあります。 「ッ」です。 この「ッ」はタイプミスではありません。 息が一回止まっていることを示しています。 というのも、dの第一段階で発音を止めたことで、この瞬間に息が止まるんです。 すると And theは アンッザ となるのです。 「ッ」を意識することがdをがあることを示します。 リダクション=音をただ省略すると誤解すると、 「アンザ」 となってしまいます。 アンザだと、 an the と発音していることと同じです。 正しくは アンッザ です。 アンッザ だとdは発音されていないけど、 And the だということを感じ取れます。 その音をリダクトするのは、滑らかに発音するためであり、情報量を削っているのではありません。 これがリダクションです。 今回はdとthの例でしたが、他の音の組み合わせでも非常によく起こります。 今回はリダクションを初めて知った方も多いと思うので、リダクションについて知ってもらうだけでOKです。 今回のように理解を深めると、 今日以降は、ここでリダクション起こるんだ! というように、自分で学びを深めていくことができます。 洋楽や映画でも、リダクションのオンパレードです。 一つの例(=今回の”And the”)を完璧に理解して、それを応用するようにしてください。 なんていったって発音は身体で覚えることができるスキルですから、そのメリットを生かして行きましょう! 机に座らなくても伸ばせる英語能力です。 発音が良くなって、英語でテレビやYoutube動画をみれるようになったら(もちろん字幕なしで)、その時には自然に英語できるようになっていきますよ。 英語を話せるようになる一つの条件に 英語のテレビ番組やTEDを字幕なしで全ての単語を聞き取れるようになることが必要と言いましたが、 大人になってからの英語学習において、リダクションのマスターなしには絶対に無理だと僕は考えています。 先ほども書きましたが、英語を流暢に話す人のなかで、発音が悪い人なんて、みたことないですから。 今日のテーマをマスターしてからTEDなどを見ると、リダクションのオンパレードに気づけるはずです。 これに気づけるようになっただけで、今日皆さんは、大きく前進されたと思います。 最後に今日の理解を完璧にする歌を一曲紹介して終わりましょう! ここまでの内容を理解した人は、Ben.E KingのStand by meを歌詞をみながら聴いてください。 リダクションの理解を深めるために学びのある歌詞と歌です。 そして、曲の中で、リダクションが起こっているところを探してみてください。 (Ben E. King Stand by me with lyrics) ここまでで今日の学習は終わりです。 海外の番組を字幕なしで見れるようになることを目指すと言いましたが、 スピードを上げて読めば読むほどリダクションが起こりますから、 ネイティブの会話レベルだと、リダクションが起こりすぎて、何を言っているかわからなくなる、と。 これがリスニングで英語が聞き取れないメカニズムです。 リダクションをマスターすればと、ネイティブの速さに近づくことができます。 それの扉を今日開けたわけです。 リダクションを正確に理解するためには、 舌の前後の移動が起こる発音を理解する必要がある、 ということを理解してもらえたでしょうか。 ・l: 舌を上の歯茎につけた状態で「うー」と言いながら、舌を歯茎から話す。すると「ルッ」という音が出ます。これがlの音 ・t & d: 舌を上の歯茎につけた状態から、息だけを用いて「トゥッ」と発音する そして、舌が 前に動いて発音する音 と 後ろに動いて発音する音 の二つがあり、 これらが鍵となって、 音の省略=リダクションが起こる ということを学んでいただきました。 これさえわかってもらえれば今回の目標はクリアです。 ここまで理解された方は、音声コンテンツを使って実際の練習をお手本とともに行ってください! ではまた次回を楽しみにしておいてください。 次回は、リダクションをさらに深めていきます! お疲れ様でした。では今日はここで終わりにしましょう!