※初めに 学習効果を最大限に高めたい方は、毎回の教材を読む前に、【課題文】を音読し、録音をしてください。 そして、各回の教材に取り組んだ後に、もう一度【課題文】の音読を行ってください。 これによって、本コンテンツに取り組む前と取り組んだ後で、みなさまの発音の成長が実感されます。 【課題文】 A: She is sick. She needs to sit down.Could you give her this seat? B: Yes, sure. A: Thank you very much. (テーマ:[s]、[∫]の区別) こんばんは。 発音コース第四回ですね。 今回のテーマは、「日本語のサ行の音」です。 英語をマスターしたいと思っている皆さんのような方はもちろん、 英語を上達させて、海外旅行をさらに楽しみたい! と思っているような方たちにも学んでほしい内容です。 今回のテーマは、海外旅行で英語が通じない時の原因として、上位にランクインしてくる内容です。 英語レベルが低いのではなく、発音が原因で言いたいことが通じない、ということです。 もちろん、プレゼンや普段の会話でも、絶対に押さえておくべき内容です。 ここだけの話、今回の内容については、正直、多くのひとはすでに知っていると思っていました。 ですから、第四回の内容について、退屈に感じる人もいるかもしれないな〜と心配している気持ちもありました。 でも、医学部や京大の同級生にも、今回の内容を知らない友人が少なからずいました。 高校の同期との忘年会で偶然、英語の話になりました。 みんなきちんと英語の読み書きはできる友人ですが、 発音の知識ってやっぱり基本的なことすらも意外に知られていないんだな と再確認した瞬間でした。笑 この発音コースで、一回分のコマを使って、きちんと解説しようと決心をした瞬間でした。笑 では、発音のレッスンに移りましょう。 今回教える発音は ・s ・∫(シャ、シュ、ショの発音) ・th(復習)です。 はじめに発音方法を紹介します。 ・[s]:歯をしっかり合わせて、前歯の間から息を漏らす感じで、息だけで「スー」と発音します。 [s]の有声音である[z]は息と声を用いて「ズー」と発音します。 ・[∫]:歯をしっかり合わせて、息だけで「シュー」と発音します。これが∫の音です。 スペル的にはshが多いです。Englishとか、shineとかです。 ・th:省略 発音と口の形についてはいつも通り、覚えてもらうしかないです。 ポイントだけ書くと、 [s]の音は [sa]、[si]、[su]、[se]、[so]であり、それぞれ日本語風に書くと、 サ、スィ、ス、セ、ソのイメージです。 前歯の間から息が漏れるのがポイントです。 [si]が「スィ」の音であるということも、ポイントです。 [∫]の音は、[∫a]、[∫i]、[∫]、[∫e]、[∫o] シャ、シ(音声を聞いて真似してください)、シュ、シェ、ショのイメージです。 まず[∫]から練習するのがおすすめで、 息のみで「シュー」と発音することがポイントです。 (声を出してはいけません。) これらの音については、音声教材でしっかりと扱っているので、お手本の真似をするのが習得の一番の近道かと思います。 それでは、発音について理解を深めましょう。 なぜこれらの音を学ばなけばいけないのかについて解説します。 「なぜ?」の部分を理解していると、上達が早いですから。 ではいきましょう。 ここで皆さんに問題です。 質問をいくつかするので、答えを考えてくださいね。 Q1: 日本語のサ行にはいくつの音がありますか? 答えは 5個です。 さ、し、す、せ、そ です。 では第2問。 Q2: 日本語のサ行をタイピングするときに使うアルファベットの数は? 6です。 s, a, i, u, e, oの6つですね。 Q3: 日本語のサ行を発音記号で表すと [sa] [si] [su] [se] [so] である。 ○か×か。 ×です。 [sa] [∫i] [su] [se] [so] です。 「シ」の音は[si]ではなく[∫i]なんです。 (あとで解説します。) 最後の質問です。 Q4: 「シンキングタイム」「エドシーラン」「シックハウス症候群」の「シ」は全て英語でも同じ「シ」の音でしょうか? 答えは「全て異なる」です。 すいません、もったいぶったのに簡単すぎますよね。 thinking time Ed Sheeran Sick Building syndrome(英語ではSick Building Syndromeと言います。) シンキングタイムのシは[θi] Sheeranのシは[∫i] sickのシは[si] ということで、 英語では日本語の「シ」に対して3つの異なる音が存在するのです。 ここが今回のポイントです。 サ行の徹底分析というタイトルでしたが、「シ」の音がヤマです。 これを区別しないと、皆さんの英語は通じないです。 日本人が間違うほとんどは「シ」です。 シンキングタイム="thinking"の"th"のように 露骨にサ行とは異なりそうな感じの音については、慣れると間違わないんですが、間違いやすいものがあります。 以下の例文で理解を深めましょう。 She is sick. 今から説明が長いですが、わかりやすく書くように努めました。 She is sick. ですが、 発音記号的には ∫i / iz / si / k シー イズ シ  ク となりますが、間違え方として多いのが、 si / iz / ∫I / k と発音してしまうパターンです。 Sheを発音するときに[∫i]と発音すべきところを、[si]と発音してしまうのです。 sickを発音するときに、[si]と発音すべきところを、[∫i]と発音してしまうのです。 (頭の体操ですね。笑) こうなると Sea is shick. See is shick. こういうスペルに聞こえるわけです。 「シ」の音の発音を間違えると、違う英語として相手に伝わることがわかっていただけたでしょうか。 さらに、突っ込んで解説していきます。 少し難しいかもしれません。 これからの説明を理解するためには、次回以降登場する「リダクション」の知識が必要になります。 (「リダクション」を勉強した後に、もう一度この文章を復習することをお勧めします。) リダクションについて簡単に説明しておくと、 英語では、状況によって発音されなくなる音があり、「発音を省略すること」を「リダクション」と呼びます。 詳しくは次回以降に扱います。 話を戻すと、 She is sick. と発音するときに 発音を誤って、 Sea is shick. みたいに発音したとします。 この状況で、文末の"k"の音がリダクトされたとすると、 Sea is shi(ck). (リダクションにより文末のkの音は発音されなくなる) みたいになります。 シッ っていう音が聞こえたときに日常会話で頻度として高いのは、 shit クソ、糞、う○ち という単語です。 (悪態を吐くときに使う単語) Shit!! と言うと、 「クソ野郎!!」 って意味です。 shit という単語も 語尾の"t"がリダクションされると、シッ= [∫i]という音として発音されるんです。 何が言いたいかというと、もし、[si]と[∫i]の音が区別できていないとリダクションが起こったときには、 She is si(ck). シーイズスィッ Sea is si(ck). スィーイズシッ Sea is shi(t). スィーイズシッ She is shi(t). シーイズシッ どれがどれなのかもう訳が分からなくなる!! ということです。 一番マズイのが She is shi(t). と発音してしまったときです。 これ「彼女はクソだ」っていう暴言になってしまうんですよ。 She is sick.   彼女は病気です。 と言いたかったはずが、 Sea is shit.   彼女はクソだ という英語になるということです。 (もちろん、文脈でわかってもらえますけどね?) 今解説した内容を、発音記号を使って説明すると、 She is sick. は、正しくは、 ∫i is si (k) です。 この文章において、[si]の音を[∫i]の音としてと発音してしまうと、 ∫i is ∫i k になってしまうと。 ここまでなら良いのですが、リダクションを行い、語尾の子音を発音しないときは、 ∫i is ∫i (k)←リダクション になってしまい、 これが ∫i is ∫i (t)←リダクション と同じ発音になってしまうので、 She is shit. 彼女はクソだ と言っているようにも聞こえることもある、というわけです。 さらにもう一つ有名なのが、 Can I sit here? です。 この文章で[s]の発音を[∫]の音と間違えると、 Can I shit here?    ここでウ○○していいですか? って意味になります。 例えば、ハーバードヤードとかに観光いって、芝生の上で、 Can I shit here? って正確に発音したら、 そりゃ聞いた人は流石に焦ります。笑 「シ」は本当に間違いやすいですから、注意深く、発音を気にするようにしてください。 印象深い題材を持ってきたつもりなので、 「シ」の音、さらには 日本語のサ行の音と英語のsの音の違い については理解してもらえましたでしょうか。 今回のゴールは、日本語のサ行、特に「シ」の音に対して、英語には3つの音がある、ということを理解してもらうこと。 さらに、 ・[s]:歯をしっかり合わせて、前歯の間から息を漏らす感じで、息だけで「スー」と発音ます。zは息と声を用いて「ズー」と発音します。 ・[∫]:歯をしっかり合わせて、息だけで「シュー」と発音します。これが∫の音です。 スペル的にはshが多いです。Englishとか、Shineとかです。 ・th:省略 この3つの音をしっかり区別して発音できるようになればOKです! 練習方法は音声の方で説明しています! それでは今日はこの辺で終わりにしましょう。 お疲れ様でした。